制御性T細胞

FoxP3: Tregのマスター制御因子

Tregによる抑制機構について、これまで多くの研究がなされてきましたが、主要転写因子Foxp3と免疫抑制に関する様々な分子の関与が示されてきました。

FoxP3 (あるいはScurfin, IPEX, JM2) は、抑制活性をもつ全てのCD4+Treg細胞で発現し、発生・分化・抑制機能を発揮するに必須とされています。13 マウスの先天性自己免疫疾患Scurfy、およびヒトの遺伝性免疫疾患、IPEX(X連鎖免疫調節異常・多発性内分泌障害腸症候群)の原因遺伝子はFoxp3遺伝子であり、突然変異を生じるとその大半においてTregの発生が阻害され免疫系が破綻します。14

FoxP3による制御機構の解明は重要ですが、FoxP3の染色は細胞の固定と膜透過処理を要するので、生細胞のままTreg細胞を分離するにあたり使用することに適していません。このような場合には、CD127-の使用が良い例として挙げられます。

FoxP3 染色

BD バイオサイエンスのヒトFoxP3モノクローナル抗体クローン259D/C7は、ヒトFoxP3転写因子の現在同定されている全てのアイソフォームと反応し、カニクイザル、アカゲザル、およびオナガザルと交差反応します。

様々な蛍光標識色素とサイズのバリエーションがあり、これらの抗体に最適なバッファーもご用意しています。このバッファーは、細胞固定と透過処理をたった数ステップで行うことができ、さらにサンプルは72時間まで凍結できるというメリットがあります。

新しく加わる標的マーカー

FoxP3はTregの同定、分離、および特性分析に一般的に用いられるマーカーですが、Tregsは非常に活発な研究分野であり、新しいマーカーが文献に発表されています。

BDは、これらの発見をサポートするために、新しいポートフォリオを開拓し続けます。

CD39

CD39は、主としてB細胞、樹状細胞、いくつかのT細胞サブセットに局在するとされましたが、近年ヒトおよびマウスのCD4+TregsにFoxP3と共発現していることが示されました。15 Tregの同定と機能特性の分析に、CD25、CD45RA、HLA-DRおよびCTLA-4等に加えて重要な細胞表面抗原です。

CD39は、細胞外ATPを、ヌクレオチドに加水分解します。細胞外ATPと代謝物は細胞と臓器機能を調節し、ATP放出により組織破壊、免疫活性化が起こます。細胞外ATPはCD39に加水分解された後、さらにCD73によってヌクレオシド(例:アデノシン)に速やかに分解されます。アデノシンは、抗炎症性T細胞反応を媒介するため、CD39とCD73の共発現は、Tregによる免疫抑制の主要メカニズムの一つと考えられています。16,17

CD152 (CTLA-4)

Cytotoxic T lymphocyte antigen 4 (CTLA-4, CD152) は、Tregにおいて恒常的に強く発現し、Foxp3によって発現を制御されています。18 T細胞免疫を抑制的に制御するCTLA-4は、CTLA-4遺伝子の多型性が自己免疫病と関連があることなどからその抑制メカニズムは重要であると考えられてます。19

さらに近年では、CTLA-4が樹状細胞上のCD80/86の発現を抑制し共刺激分子を間接的に抑制するため、抗原提示細胞のT細胞活性化へ影響することが示唆されています。20

上記の背景を踏まえ、CD152による免疫抑制メカニズムを明らかにすることは、自己免疫疾患や悪性腫瘍の新たな治療法の開発や改良に結び付くと考えられています。

報告されているヒトTregマーカー

この表は、ヒト制御性T細胞研究に関連が深いマーカーを紹介しています。BDはこれらの試薬ポートフォリオを常に拡大しています。最新の製品情報に関しては、bdbiosciences.com/treg をご参照ください。

抗原 ヒトにおける発現 参考文献番号
CCR4 positive 21, 22
CCR6 positive 22
CCR7 positive 23
CD4 positive 12, 24, 25
CD11a high 26, 27
CD25 positive 28
CD39 positive and negative subsets 29
CD45RA positive 30
CD45R0 positive 31
CD46 positive 10
CD54 (ICAM-1) high  
CD62L low and high subsets 32
CD69 positive 33
CD103 positive 34
CD122 (IL-2Rβ) positive  
CD127 low 5, 6
CD134 (OX-40) positive and negative subsets 35
CD152 (CTLA-4) high 36, 37
CD154 (CD40L) positive 38
CD223/LAG-3 positive 39, 40, 46
CXCR4 positive 33
CXCR5 positive 33
CXCR6 positive 33
FoxP3 positive 41, 42
GITR high 43
GPR83 positive 44
Granzyme B positive 45
IL-10 positive 46
IL-35 positive 47
MHCII positive 48
Neuropilin 1 positive 49
Perforin positive 50
TGF-β positive 51