T細胞研究

多彩な免疫反応を調節するヘルパーT細胞

獲得免疫は、外来抗原への暴露後、後天的に形成され、高度な特異性と免疫記憶を特徴としています。なかでも、T細胞は獲得免疫の中枢司令塔であり、各々のサブセットが特徴的な機能を持つことが知られています。ヘルパーT細胞は、認識した抗原に応じて、異なる細胞集団を誘導あるいは活性化し免疫反応を調節します。

樹状細胞の抗原提示細胞(APC)による刺激を受けると、ナイーブT細胞は活性化し取り巻くサイトカイン環境により分化誘導され、特定のサイトカインを産生するeffector T細胞としての機能を発揮します。


抗原提示細胞により抗原が提示されると、抗原に対して親和性の高いTCRを保有するT細胞に、TCR刺激を起点とした細胞内シグナルが伝達されます。それと同時に、共刺激因子を介した抗原非特異的な刺激やサイトカインによるシグナルを受け取ります。特定のサイトカイン環境下で抗原刺激を受けたナイーブT細胞は、増殖、分化、サイトカイン産生などのT細胞としての運命が決定され、各サブセットへ分化します。Th1, Th2, Th9, Th17や Tfh細胞などへ分化した細胞はサイトカインを分泌し、NK細胞やB細胞などへ攻撃命令をだす、マクロファージの食作用を促すなど、種々のリンパ球のもつ機能を活性化し誘導します。一部長期生存するメモリーT細胞は、再び抗原にさらされると迅速かつ効率よく誘導されその機能を発揮します。


マルチカラー解析は、こうした多彩な細胞集団の性質をとらえることに最適な手法です。ヘルパーT細胞のような細胞集団は、 各サブセットを特徴づける細胞表面マーカーと、サイトカインや転写因子をはじめとする細胞内マーカーを組み合わせることで、簡単かつ迅速に複数の影響因子を解析できます。また、複数のサイトカインを同時に定量できるBD™ CBAによる解析などを並行して行うことでより深い知見を得ることができます。


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Th1 細胞

Th1細胞は、細胞性免疫を司り細胞内寄生細菌やウィルスに対する感染防御を行います。Th1細胞によりIFN-γやIL-2、LTαなどの炎症性サイトカインが放出されると、マクロファージや細胞障害性T細胞は活性化し、効率よく貪食する、病原微生物を破壊する、標的となる細胞を認識し殺傷するなどその役割を果たします。また、多発性硬化症やインスリン依存性糖尿病といった慢性炎症疾患は、Th1の関与が示唆されています。

Th2細胞

Th2細胞は、 液性免疫を司り、細胞外寄生性病原体に対してアレルギー反応といったような生体防御を行います。Th2細胞のIL-4, IL-5, IL-6, IL-10やIL-13といったサイトカイン分泌をうけると、IL-4により形質細胞は抗原特異的な抗体産生を促され、抗体は病原微生物を捉える、IL-5 によって分化増殖した好酸球は顆粒タンパクの放出により寄生虫を傷害するなど、種々の細胞はその機能を発揮します。また、Th2細胞は、IL-9の供給源であると考えられてきましたが、近年IL-9とIL-10を分泌するTh9細胞が報告されています。Th9細胞は、TGF-β存在下でTh2細胞から分化、あるいは、IL-4及びTGF-β存在下でナイーブT細胞から分化し、喘息や組織の炎症に関与すると考えられています。

Th17 細胞

IL-17を産生するTh17 細胞は、アレルギーや自己免疫、細胞外増殖性の細菌感染防御で中心的な役割を果たします。マスター転写因子RORγtを発現し、naive CD4T細胞からIL-6とTGF-β により分化誘導されます。

Th17細胞は、TGF-βや IL-21によって増殖、主にIL-23 (p19/p40)によって維持され、IL-23 は IL-23受容体と結合し下流のSTAT3を活性化 、結果ROR-γの発現やIL-17Aの発現を促します.産生されたIL-17Aは、 マクロファージや繊維芽細胞など種々の細胞に作用し、TNFやIL-6などの様々な炎症性メディエータを誘導します。

一方でTregは、TGF-βにより誘導されるため、IL-6とTGF-βの相対的なバランスがTh17とTregの分化バランスを調節していると考えられ、免疫学的恒常性の維持、自己免疫疾患のメカニズムを理解するうえで重要とされています。

Th17細胞