幹細胞研究

細胞表面プロテオームの迅速かつ効率的なプロファイリングへ

幹細胞研究において直面する困難は、培養した細胞の分化の不均一さです。生細胞を、次の実験に使用するため、特定の細胞を分取するには、細胞表面の表現型を特定する必要があります。


BD Lyoplate™ Screening Panels は、フローサイトメーターやバイオイメージングを用いて、数百種類細胞表面マーカーを、効率的にプロファイリングできる包括的なシステムです。プロテオームを網羅解析することで、様々な機能解析、薬剤スクリーニング、In vivoの動物実験、細胞治療などを目的とした実験系の戦略を明確にすることができます。

プロテオームプロファイリングが低コストで実現

BD Lyoplate™ では、ヒトは242種類、マウスは176種類の細胞表面マーカーを測定できます。モノクローナル抗体を全て買い揃えなくても、実験可能なためコストを抑えることができます。マーカー抗体に加え、アイソタイプコントロール、2 次抗体試薬など必要な試薬が揃っています。次段階の大規模な実験への移行をスムーズにするため、スクリーニングパネルに含まれる全ての抗体は、BD バイオサイエンスで提供しています。

生産性を上げる96-wellマイクロプレート

抗体が予めプレートにセットされています。 また自動処理装置やマルチピペッティングに最適なフォーマットです。 さらには、ヒートマップ解析用のテンプレートもご用意しています。 実験に従事する時間を削減でき、ラボの生産性が向上します。

GFP やYFPと同時解析

二次抗体にAlexa FluorR 647™ 標識抗体を使用しています。 このため、GFP やEGFP、YFP 発現細胞をマーカー染色し、同時解析することが可能です。

安定性に優れた便利なフォーマット

抗体は凍結乾燥されています。 そのため、密封包装の状態であれば長期間室温で保管することができます。 また、プレート形式なので、冷蔵保存庫のスペースを節約できます。


ヒト(Cat. No. 560747) /マウス (Cat. No. 562208)

【構成品】

◆ マイクロプレート3 枚
 
※細胞表面マーカーに対する抗体, アイソタイプコントロールが予め分注されています。
 
※空のウェルは、追加して解析したいマーカーに利用することができます。

◆ Alexa Fluor® 647 標識二次抗体試薬

BD Lyoplateパネルを用いたフローサイトメトリー及びイメージスクリーニングに関する考慮事項

サンプルの種類 フローサイトメトリー イメージング
浮遊細胞  
希少な細胞集団  
サブポピュレーション解析
複数マーカーで共染色
 
レポーターライン
形態学的変化  
細胞数の制限  
神経幹細胞およびニューロンの特性評価と濃縮のためのスクリーニング
神経幹細胞およびニューロンの特性評価と濃縮のためのスクリーニング
A. H9 hESCs は、SFEB法1 により誘導し、BD Lyoplate™ human cell surface marker screening panel (Cat. No. 560747)を用いて、ヘテロな神経系細胞培養の細胞表面抗原表現型の同定を行った。 BD™ LSR II フローサイトメーターで測定した。候補のマーカーをさらに確認し同定後、高純度NSCを得るためにBD FACSAria™ II セルソーターでソーティングを行った。NSC細胞表面マーカーの表現型は、 CD184+CD44 CD271CD24+CD15midを用いた。
神経幹細胞およびニューロンの特性評価と濃縮のためのスクリーニング
神経幹細胞およびニューロンの特性評価と濃縮のためのスクリーニング
B. NSCを混合培養でニューロンとグリアに分化させ、ニューロンの表面マーカー表現型同定のため、同じパネルを使ってスクリーニングした。ニューロンの形態学的な特徴を捉えることができ、特異的マーカーを共染色できることから、イメージングスクリーンを用いた。候補のマーカーをフローサイトメトリーで検証し、CD44 CD184CD24+CD15low のソーティングプロファイルを、ニューロンの精製に使用した。1

 

神経系細胞のスクリーニング

多能性幹細胞由来の神経細胞集団は、ヒト疾患および発生の研究に重要です。多能性幹細胞は、自己再生するNSCsに分化させることができ、それはさらにニューロンとグリアのヘテロな集団に分化させることができます。1 更なる研究への鍵は、各々の細胞の表面マーカーの表現型を同定することです。

例では、BD Lyoplate™ ヒト細胞表面マーカースクリーニングパネル(カタログ番号560747)を用いて、NSCおよびニューロンの細胞表面表現型を同定しています。パネルAにおいて、神経系へ誘導をした培養細胞をフローサイトメトリーでスクリーニングし、NSCマーカーの候補をヒートマップ上で同定しました。得られたNSCの細胞表面表現型の CD184+CD44CD271CD24+CD15mid は、細胞内NSCマーカーを使って検証しました。この表現型を使って、ほぼ純粋なNSCの細胞集団をソートし、後にin vivoおよびin vitro両方での分化能を確認しました。

IパネルBにおいて、精製したNSCをニューロンおよびグリア細胞に分化させ、ニューロンを分取するための表面マーカーを同定するために、同じパネルを使ってイメージングによりスクリーニングしました。 ニューロンの形態学的な特徴を捉えることができ、特異的マーカーを共染色できることから、イメージングスクリーンを用いた。ニューロン表面表現型候補である、CD44CD184CD24+CD15low はフローサイトメトリーで検証し、ニューロンの作製に使用しました。ニューロン細胞の他、BD Lyoplate™ ヒト細胞表面マーカースクリーニングパネルは、多能性幹細胞由来の心筋細胞の細胞表面マーカーを同定するためにも使用されています。2 近年では、この方法がアルツハイマー病のヒト幹細胞モデルの開発に使用されました。3


参考文献

1. Yuan SH, Martin J, Elia J, et al. Cell surface marker signatures for the isolation of neural stem cells, glia and neurons derived from human pluripotent stem cells. PLoS One. 2011;6:e17540.

2. Uosaki H, Fukushima H, Takeuchi A, et al. Efficient and scalable purification of cardiomyocytes from human embryonic and induced pluripotent stem cells by VCAM1 surface expression. PLoS One. 2011;6:e23657.

3. Israel MA, Yuan SH, Bardy C, et al. Probing sporadic and familial Alzheimer’s disease using induced pluripotent stem cells. Nature. 2012;482:216-220.