B-Cell Research

B細胞研究のための革新的なツール

免疫系は、無数の病原微生物や外来抗原を異物として認識し排除します。なかでも、獲得免疫系は、遺伝子再構成の産物である多種多彩な抗体やT細胞受容体による特異的な免疫応答により生体を防御しています。B細胞による免疫応答制御は多岐に渡り、抗原特異的な抗体産生、T細胞の分化誘導、記憶免疫などの役割を担っています。B細胞の免疫応答は、アレルギーや自己免疫疾患、リンパ腫のメカニズムを理解する上で重要であり、その動態は、種々の主要な表面マーカー、Blimp-1やXPB-1sといった転写因子などのプロファイルを同定、解析することで知見を深めることができます。BDバイオサイエンスは、最先端のテクノロジーと製品、サービスを統合した包括的なアプローチにより、B細胞研究に貢献します。

概要 表現型解析 細胞内サイトカイン 細胞内シグナル伝達 フローサイトメトリーのマルチカラー解析

B細胞は、抗原刺激の前後で様々な分化ステージを経ます。 成熟・分化するにつれて、各サブセット特有の機能を有し、発揮します。

細胞表面・細胞内マーカの発現の違いや、免疫グロブリンやサイトカイン分泌のプロファイルには特徴があり、これらによって多様な性質や機能への理解を深めることができます。

BDは、B細胞の重要な発生段階の表現型を解析するために、様々な試薬をご用意しています。

例えば、Syndecan-1 (CD138)は、抗体を分泌する形質芽球や形質細胞において発現が見られ、他の機能サブセットとは明瞭にわけることが可能です。

Conventional B細胞の成熟

B細胞は、骨髄において造血幹細胞(HSC)から発生し、遺伝子再構成などが起こる初期分化を経ます。骨髄で負の選択を受けた未熟B細胞は、末梢リンパ組織へと移行し成熟濾胞B細胞へと分化します。1 成熟B細胞におけるB細胞受容体(BCR)複合体は、IgMとIgDの状態で細胞表面に存在し、外来抗原を捕捉し抗原提示を行います。その後、ヘルパーT細胞によって活性化された成熟B細胞は形質細胞へと分化し抗体を産生します。2

異なる機能を担うB細胞サブセット

B細胞の中には、conventional B細胞と異なる分化系統をたどるサブセットが存在し、異なる機能と抗原発現パターンを示します。例えば、辺縁帯(MZ) B細胞は、自然免疫様細胞としてT細胞非依存性の抗体産生を行います。Conventional B細胞とは、異なり BCRではなくToll様受容体(TLR)の結合を介し活性化します。また、CD1dとCD21の発現が見られ、CD23は発現しないといった発現パターンを示すことが観察されています。1,2 さらには、抑制に働く機能をもつB細胞が近年同定されていますが、IL-10やTGF-β-1といったサイトカインを分泌することが知られています。1–4

B細胞成熟の解析

7種の細胞表面マーカーを用いて、マウス骨髄B細胞の各分化ステージの表現型解析することができます。

BP1とCD24の発現の違いにより、弱陽性CD45R/B220集団内で、pre-pro-B、pro-B、およびpre-B細胞を展開します。さらに、未熟、移行期、初期および後期成熟B細胞を、IgMおよびIgDの発現の違いに基づいて区別します。IL-7受容体であるCD127の発現を、各サブセットで解析し、B細胞が成熟するに従って減少することを示しました。

B細胞の重要な発生段階と主要マーカー

マウス骨髄におけるB細胞発生段階解析


References

1. Allman D, Pillai S. Peripheral B cell subsets. Curr Opin Immunol. 2008;20:149-157.

2. Shapiro-Shelef M, Calame K. Regulation of plasma-cell development. Nature Rev Immunol. 2005;5:230-242.

3. Lund FE. Cytokine-producing B lymphocytes–key regulators of immunity. Curr Opin Immunol. 2008;20:332-338.

4. Mauri C, Bosma A. Immune regulatory function of B cells. Annu Rev Immunol. 2012;30:221-241.

マルチカラー解析は、B細胞研究に適しています。B細胞は、基本的なサブセット解析に、他の細胞、例えばT細胞に比べ、多くのマーカーを使う必要があるためです。

重要なマーカー

B細胞研究において、主要なB細胞サブセットを解析するには、細胞表面マーカー用いますが、これは、より詳細な解析を行うためのパネルの中心となります

特に重要なマーカーは、B細胞系統に属するほとんど全ての細胞で発現しているCD19です。また、マウスではCD45R/B220が伝統的に用いられています。さらに、BCRの表現型は、B細胞の各分化段階で重要であるため、解析パネルには、表面に発現するIgDおよびIgMを組み入れます。

基本パネル

サンプルの種類に合わせて、B細胞サブセットのマーカーを選択します。ここで示したヒト末梢血細胞の例では、CD19, CD20, IgD, CD27, CD38, CD24を用いています。 この6色パネルでは、transitional B細胞(CD24high, CD38high)、naïve、memory B細胞(naïve細胞;CD27IgD+, memory細胞 CD27+IgD)、形質芽球(CD38+)を解析しています。1

より詳細な表現型解析

さらなるサブセット解析の際には、多くの場合、表現型に応じてマーカーを追加することが必要です。

例えば、骨髄B細胞各発生段階の解析をする際には、マーカーを追加して、メモリー細胞やプラズマ細胞を解析できます。その他ケモカイン受容体やCD62Lで、細胞のホーミング、生体内の局在について、活性化マーカー(CD69、CD25、CD80、CD86)の追加により、各サブセットの活性化について解析でき、種々の免疫応答への知見を得ることができます。

パネル構築のためのツール

<抗原密度> 

パネルに新しいマーカーを追加する際、抗原と蛍光色素の適切な組み合わせを選択するため、抗原密度の情報を利用することができます。一般的に、高輝度色素を抗原密度の低いマーカーに、低輝度色素を強く発現しているマーカーに選択することを、推奨しています。BDでは、末梢血細胞マーカーの抗原密度についての情報を収集し開示しています。

<弱陽性マーカーには高輝度色素を> 

B細胞サブセットは、希少、または弱陽性の抗原で定義されることがあるため、十分な解像度であることは良好なデータを得るために極めて重要です。このような場合、輝度の高い蛍光色素を用いることで解像度の改善が期待できます。BV421、BV510、BV605等の高輝度シリーズは特に有用で、B細胞マーカー抗体を多く取り扱っています。

さらなるサブセット解析のためにパネルを広げるには

例えば、ここで示すような10色解析パネルを組む際には、抗原密度の情報が、蛍光色素との組合せを考える上で有用です。サブセットにより発現レベルの異なる低密度抗原CD138, IgD, CD38には明るい蛍光色素を選択し、CD27,IgMについては、特に明るいBV色素を選択します。

このパネルでは、免疫グロブリンサブクラスの発現、IgG+ 及びIgG のクラススイッチ後メモリー細胞(IgMIgDCD38CD27+/dim)、形質細胞(IgMIgDCD20CD38m++)も解析することができます。

ヒト末梢血細胞6色解析

ヒト末梢血細胞10色解析

ヒトPBMCにおけるB細胞マーカー抗原密度


References

1. Maecker HT, McCoy JP, Nussenblatt R. Standardizing immunophenotyping for the Human Immunology Project. Nature Rev Immunol. 2012;12:191-200.

B細胞から分泌される免疫グロブリンやサイトカインを定量解析することで免疫反応に対する新たな知見を得ることができます。

複数タンパクを同時に定量できることから、従来の手法より簡単で操作時間が短いため実験解析そのものに集中することができます。


BD CBA アッセイの原理

BD Cytometric Bead Array: 複数タンパクの同時定量

BD CBAは、フローサイトメーターによるタンパクの1サンプルから多種類のタンパクを、同時に定量解析できるアプリケーションです。

従来法のELISAと比較して、検出範囲が広く多項目測定できるため、サンプル量が少量で測定でき、検体処理時間や条件検討に従事する時間が短くなります。また、簡単に実験操作を行うことができます。

BD CBA製品は、サイトカインや免疫グロブリン、リン酸化タンパクをはじめとする、可溶性タンパクや細胞内の様々なタンパクを測定できます。

表1. サイトカイン産生B細胞

サブセット 分泌サイトカイン
B effector 1 (Be-1) IFN-γ, IL-12, TNF
B effector 2 (Be-2) IL-2, IL-4, IL-6, TNF
Regulatory B IL-10, TGF-β1

IgG検量線

BD CBAによる免疫グロブリン定量解析

BD™ CBA Human Immunoglobulin Flex Setにより、Igサブクラスの多項目同時定量解析ができます。また、Ready to Use セットのため、簡単に取り組むことができます。免疫反応によって、免疫グロブリンのタイプと量は大きく変化することから、ワクチン接種や感染症感作後の解析や、あるいは免疫グロブリン欠乏牲疾患などの評価などに有用です。例えば、HIV感染サンプルから採取したB細胞をCpG刺激した後、様々な免疫グロブリンや分泌サイトカインをCBAを用いて解析することができます。 1

BD CBAによるサイトカイン定量解析

BD™ CBA により複数のサイトカインを、効率的に同時定量解析することができます。ヒト及びマウスのサイトカインを幅広く取り扱っています。 BD CBAスタンダードを用いた結果は、NIBSC/ WHO 国際標準と比較してあり、ラボ間あるいは異なる手法で得られたサイトカイン濃度と比較するガイドラインとしてご利用いただけます。サイトカイン測定により、機能的に異なるB細胞がどのような生物活性を示しているか解析することができます。 2 例えば、BD CBA Flex Setは、メモリーB細胞除去後のHIV感染サンプルにおけるB細胞関連サイトカインやケモカインの定量に使用されています。 3

  総IgG IgM IgA
ドナー1 16.9 1.3 1.6
ドナー2 10.9 2.4 0.9
ドナー3 8.9 0.7 1.5
ドナー4 14.6 2.8 1.5
ドナー5 11.6 0.3 1.1
想定される範囲 7–14 0.5–3.3 0.8–3.9

ヒト血清サンプルにおける免疫グロブリン定量


References

1. Malaspina A, Moir S, DiPoto AC, et al. CpG oligonucleotides enhance proliferative and effector responses of B cells in HIV infected individuals. J Immunol. 2008;181:1199-1206.

2. Lund FE. Cytokine-producing B lymphocytes–key regulators of immunity. Curr Opin Immunol. 2008;20:332-338.

3. Kardava L, Moir S, Wang W, et al. Attenuation of HIV-associated human B cell exhaustion by siRNA downregulation of inhibitory receptors. J Clin Invest. 2011;121:2614-2624.

B細胞の活性化や分化は、転写因子やリン酸化シグナルタンパク、サイトカインなど細胞内の様々な変化を伴います。

Basic principles of intracellular staining - Main

細胞内染色の基本原理

複数の細胞内タンパクを検出するには異なる条件が必要とされる場合もありますが、基本的な原理は同じです。すなわち、細胞は、固定・膜透過処理 (破線が膜を表しています。)を行い, 蛍光標識抗体で染色しフローサイトメトリーにより解析を行います。 分泌タンパクの測定では、タンパク分泌阻害剤で初めに処理をし細胞内に目的のタンパクを貯留します。


マウスリンパ節細胞におけるBcl-6発現

細胞内タンパクの検出

細胞内のフローサイトメトリーにより、様々な細胞の機能やシグナル伝達の情報が一度に得ることができます。なお、B細胞の各サブセットを特徴づける細胞表面マーカーと、サイトカインや転写因子をはじめとする細胞内マーカーを組み合わせることで表現型を同定することができます。 WBなどの従来法と異なり、複数のマーカーを組み合わせ一度に解析を行うことができるため、 データ収集時間が短縮され、貴重なサンプルを節約できます。

細胞内フローサイトメトリーの ツール-最適化された抗体やバッファー

細胞表面染色は標準的な手法が確立されている一方で、細胞内染色は、タンパクの生物学的な特徴に左右されます。 したがって、細胞内での位置、他の分子との関係、安定性の違いによって、推奨される細胞調製や染色法が異なります。 BD は様々なキット、バッファー、プロトコールを提供しています。また、蛍光標識抗体を様々なバッファーや条件でテストしているため、研究に従事する時間やコストを削減することができます。


ヒト細胞におけるリン酸化mTOR発現解析

転写因子の検出

BD Pharmingen™ transcription factor bufferは転写因子サイトカイン同時解析用バッファーで、細胞を適切に固定・膜透過処理することができ様々な核内エピトープを測定することができます。また、細胞表面マーカーとの組合せにも最適です。

BD は、濾胞B細胞やGC B細胞で発現しているOct-2, Pax-5、増殖時GC B細胞で発現しているBcl-6、形質細胞で発現しているBlimp-1,XPB-1sなどB細胞関連転写因子の抗体を広く取り揃えています.


活性化マウス脾臓細胞におけるBlimp-1発現

リン酸化タンパクの検出

BD Phosflow™抗体は、リン酸化エピトープに対して特異的な抗体です。また、これらの抗体は、フローサイトメトリーで検出できるようバリデーションされており、膜固定・透過処理剤との組み合わせが検証されています。BD Phosflow™ perm buffer III は、多くのリン酸化エピトープの検出に最適な膜透過剤ですが、その他にも実験系に合わせたバッファーを揃えています。

BD Phosflow抗体は、B細胞の分化や活性化に関するシグナル伝達経路の解析に有用です。例えば、phospho-Akt, phospho-Btk, phospho-Syk, phospho-BLNK, phospho-CD20/ BL-CAM, phospho-IKKγ, phospho-NFκB, phospho-mTORなどをご用意しています。


CpG刺激したヒトPBMCにおけるXBP-1s発現解析

サイトカインの検出

サイトカインは典型的な分泌タンパクなので、細胞内タンパク輸送阻害剤を使用して細胞内に貯留させます。 その後、緩やかな固定膜透過を行い測定します。細胞内フローサイトメトリーによる、活性化細胞におけるサイトカイン産生能の解析は、非常に簡単で、標準的な手法が確立されています。さらには、転写因子などとも同時に測定することも可能ですので、各細胞サブセットの分化解析もおこなうことができます。

BDは、サイトカインと細胞表面マーカーの検出を簡単に行うためのキットやバッファー、豊富な抗体製品ラインをご提供しています。特に抗体に関しては、様々な条件、バッファーに対応する、細胞表面マーカーやサイトカインに対する蛍光標識抗体をご用意しております。例えば、BregやBe-1, Be-2といった細胞が分泌するサイトカインに対する抗体も取り揃えております。また、BD Cytofix/Cytoperm bufferはサイトカイン産生能の解析においては、数多くの文献で引用されている実績があります。

4色以上のマルチカラー解析において、機器設定に時間を費やさないために

5種のマーカーからなるパネルを2レーザーで測定する場合、一般的に、蛍光色素同士の漏れ込みがあるため蛍光補正が必要とされます。4,5レーザー搭載機器が利用可能であれば、機器設定を簡素化し、蛍光補正を最小限に抑えることができます。


B細胞パネル5色解析: 最小限の蛍光補正

5レーザー搭載機器の中には、UVレーザー(355nm)を備えているものがありますが、これは一般的に、サイドポピュレーション解析や、indo-1を用いたカルシウム測定、生細胞染色などに使用します。 BDは、UVレーザー搭載機器を実験へ最大限に活かしていただくために、UVレーザーで励起する革新的色素 BD Horizon™ Brilliant Ultraviolet™ (BUV)シリーズを開発いたしました。BUV395標識抗体をはじめとして、各々のレーザーで励起される色素をパネルに組み込むことで、漏れ込みを最小限、あるいは、なくすことができます。

ここでは、ナイーブ及びメモリーB細胞パネルの5色解析例を示しています。dこのパネル用いると、機器設定は最小限で、補正は実質必要ありませんでした。

迅速、簡単、精度の高い解析のために

ヘテロジニアスな細胞集団の細胞表面や細胞内のマーカーを同時に解析することで、個々で解析するよりも統合された情報を得ることができます。BDは、こういった研究のためのキットやバッファー、プロトコールを提供しています。また、B細胞に関連する蛍光標識抗体を様々なバッファーや条件でテストしているため、研究に従事する時間やコストを削減することができます。


マウス脾臓B細胞におけるPax-5発現解析

マウス脾臓B細胞におけるPax-5解析

ここに示した実験においては、 マウス脾臓のB細胞サブセット解析を9種の細胞表面マーカーで行っていますが、脾臓における様々な発生段階を確認することができます。濾胞B I,II及び辺縁帯に存在する辺縁帯B細胞、前駆細胞は、IgM, IgD, CD21, CD23の発現に基づいて同定し、IgM ,CD23の発現レベルの違いにより、 transitional B細胞サブセット(T1, T2, T3)を同定しました。

Pax-5の発現解析により、濾胞B細胞、辺縁体B細胞などサブセットによってPax-5発現レベルは異なることが示唆されます。

マウス骨髄におけるB細胞発生段階解析

ヒト末梢血細胞6色解析

ヒト末梢血細胞10色解析

ヒト血清サンプルにおける免疫グロブリン定量

ヒト細胞におけるリン酸化mTOR発現解析

マウスリンパ節細胞におけるBcl-6発現

活性化マウス脾臓細胞におけるBlimp-1発現

CpG刺激したヒトPBMCにおけるXBP-1s発現解析

B細胞パネル5色解析: 最小限の蛍光補正

マウス脾臓B細胞におけるPax-5発現解析


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